人間は、感染症をなくそうと努力してきました。
たとえば、糞尿に病原体が紛れ込んでいるとします。それが川の流れに入って、下流にいる人がそれを飲んで感染してしまう。このようなことがないように上・下水道の仕組みや塩素消毒の方法をつくりあげてきました。
糞尿が乾燥すると病原体が埃となって空気中に舞ってしまい、それを吸い込んで感染してしまう。このようなことがないように清潔な水洗トイレをつくりあげてきました。
という具合にいろんな努力をしてきたわけですが、それでも病原体はなくなることなく、感染症も形を変えて常になにかしらの感染症は世の中に存在してます。
病原体も進化している
人間が感染症をなくして、苦しまないように、長生きできるようにと対策してきたように、細菌やウイルス側もおなじことをやってるんですね。ここで進化で有名なダーウィンの説を確認しておきたいと思います。
ダーウィンの進化論
- あらゆる生物は子孫をたくさん残そう(遺伝子を残す)とする性質がある。
- 子孫を残す(遺伝子を複製)とき、すこし変わったやつ(変異したもの)が生じることがある。
- 変異したものの方が、より環境に適応できて生き残りやすいものだったら、遺伝子を複製する際に変異したものをできるだけ多くするように、年月がたてばたつほど変異したもののほうの割合が多くなっていく。
大雑把に言って↑のようなのが進化論の概要でした。で、これがヒトの場合だと親から子への世代交代に20~30年くらいかかるわけですが、
病原体はもっと早くなるわけです。
細菌だと、1個の細菌が2個になるのに数分~数十分くらいです。
さらにウイルスの場合は、そもそも遺伝子がDNAでなく、RNAのものが多いんですね。
DNAってのは2本鎖でRNAは1本鎖です。ここではとりあえず1本でできてるほうが、ちょっとひっぱられたりなんかすると千切れたり損傷しやすいと考えてください。
とくにRNAのウイルスは遺伝のときに変異がより起こりやすくなるわけです。
病原微生物はどうやって生き延びてきたのか
病原微生物もヒトと同じように生き延びようと努力しているわけです。
ウイルスや細菌が感染する対象を「宿主」といいますが、宿主の体内でいい塩梅でうまいこと生き抜くのが病原微生物からするとベストでしょう。
もちろん、宿主のなかで増えすぎてしまって、宿主を殺してしまうようなやりすぎはNGです。
病原微生物目線でみた効率のよい伝染のさせ方
下痢
1つ目に考えられるのは、感染した宿主に下痢を起こさせて伝染させる方法です。
下痢をおこさせて、その糞が川の流れにのって、その水を飲む別の個体、また糞が乾燥して空気中に舞い散ったものを吸い込ませて伝染を広げていくというパターンです。
この方法は上下水道が整備されて清潔になってきた社会では若干通用しにくくなってる伝染方法となってしまってます。
咳
病原微生物が効率よく生き延びるために最もいい方法じゃないかな~。
ヒトは動物と違って会話をしてコミュニケーションをとります。ヒトとヒトが向き合った状態でゴホンゴホンと激しく咳き込めば、そこからの飛沫や飛沫核にとびのって伝染していくことができます。
あまり重症化するとマズイ・・・
病原体からすると、咳の飛沫にとびのって周りにガンガン伝染させたいところです。
ただし、近くに人がいないことだってあるはず。その場合はどんどん宿主に歩いて移動してもらって、次の宿主を探してもらうことが大事です。
それを考えると、あんまり重症化して身動き取れなくなるほど苦しくさせるのはよくないということになります。
感染しても多くの場合はかるーい症状で、気道で増殖して咳の飛沫にまじる
こういった特徴をもつ感染症が今後は流行っていくのではないでしょうか。
この特徴をもつ感染症がまさにCOVID-19ですね。
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